オーストラリア、OECD暗号資産税申告ルール採用に向け法案草案を公表
濠・OECDが暗号資産税申告ルール採用に向け法案草案を公表
オーストラリア政府は、国境を越えたデジタル資産取引の透明性を高め、脱税リスクに対処するため、OECD(経済協力開発機構)が定めた「暗号資産報告枠組み(CARF)」の導入に向けた本格的な法的施策を開始した。
同国財務省は関連法案の草案を公開し、制度設計に関する意見募集を実施している。
制度導入に向けた法的枠組みとスケジュール
オーストラリア財務省は、「2026年財務法改正法案:税務情報報告(Treasury Laws Amendment Bill 2026: Tax information reporting)」と題する法案草案を公開。この草案は、2026年10月28日(水曜日)までパブリックコメントを受け付けている。
オーストラリア政府は2023年11月にCARF採用の意向を表明し、2024年後半の協議や「2025-26年度中間経済財政見通し」を経てこの法案を取りまとめた。
2027年:オーストラリア国内でのデータ収集を開始予定。
2028年:参加国・地域間での国際的な自動データ交換を開始予定。
現在、日本やEU(欧州連合)主要国、英国、アルゼンチンなど77の国・地域がCARFの導入方針に同意しており、オーストラリアも2028年のデータ交換開始に向けた第一陣のグループに属している。
CARF法案の2つの柱と二重の報告制度
この法案には、税務の透明性を網羅的に確保するための2つの主要機能が組み込まれている。
OECD暗号資産報告枠組み(CARF)の国内法化
暗号資産の急成長に伴う課税逃れを防ぐための国際基準を国内法に落とし込む。これにより、事業者は特定データを収集・報告する法的義務を負い、そのデータは居住国の税務当局間で相互共有(アウトバウンド交換)される。
国内向け暗号資産第三者報告制度の創設
国際的なデータ交換とは別に、国内プラットフォームを利用するオーストラリア居住者の取引データをオーストラリア国税庁(ATO)へ直接報告する仕組み(インバウンド報告)を構築する。これは伝統的な銀行利息や株式取引と同様の仕組みであり、ATOによる確実な税務管理と申告書の事前作成支援に活用される。
報告義務の対象となる事業者と収集データ
この制度ではRCASP(報告対象暗号資産サービスプロバイダー)が義務の対象となり、主な対象事業者と義務付けられるデータ収集要件は以下の通りだ。
対象となり得る事業者:
暗号資産取引所、売買を仲介するブローカー・ディーラー、暗号資産ATM事業者、特定のDeFiプラットフォーム管理者、法定通貨・暗号資産間の交換仲介業者など。
収集・報告が求められる項目:
顧客の氏名、住所、居住地国
納税者番号(TIN)
暗号資産の種類、数量、取引金額(公正市場価格)
ウォレットやプラットフォーム間での送金詳細
これらは従来のKYC(顧客確認)要件を大幅に上回る精細なデータであり、事業者はより高度なデュー・デリジェンスとシステム開発が要求される。
企業・会計実務への影響と推奨される対応方針
2028年の情報交換開始に向け、暗号資産を扱う企業や会計事務所、監査人、CFOは「2026~2027年」を導入・構築フェーズと位置づけて準備を進める必要がある。
オンボーディングとTIN取得の徹底:
特に非居住者顧客に関するTIN(納税者番号)の取得漏れを防ぐため、本人確認プロセスを再設計する必要があru
。
データ基盤と会計システムの改修:
ATOが指定するデータスキーマ形式で取引ログを出力・提出できるよう、暗号資産会計・データ管理ツールの対応状況を確認・整備することが不可欠。
グループ内移転価格と国際税務の整合性:
グローバル企業は、各国の報告データと海外での申告内容との間に不整合が生じないよう、グループ内取引の価格設定(独立企業間価格)や移転価格文書を最適化する必要がある。
意見募集への早期対応:
意見公募の期限(2026年10月28日)に向けて、企業は自社の事業範囲がRCASPに該当するかどうかを速やかに分析し、コンプライアンス負担を考慮した上でフィードバックを行うことが推奨される。
免責事項:本記事の内容はあくまでも筆者の意見を反映したものであり、いかなる立場においても当プラットフォームを代表するものではありません。また、本記事は投資判断の参考となることを目的としたものではありません。
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