エチオピア、水力発電不足によりビットコインマイニング業者への電力供給を原則停止・大幅削減
エチオピアがエルニーニョ現象と貯水池のひっ迫による電力制限
東アフリカに位置するエチオピアにて、水力発電システムの深刻なひっ迫を背景とした大規模な電力供給の制限措置が実施されていることがあきらかになった。
エルニーニョ現象の影響によって同国内の干ばつが一段と深刻化し、主要水力発電用貯水池への流入量が20パーセント減少したことが直接的な要因だ。国営のエチオピア電力公社=EEPは、限られた電力を国民の生活や国内の製造業へ優先的に割り当てるため、これまで多大な電力を消費してきた暗号資産マイニング事業者に対する電力供給を、契約量のわずか23パーセントへと大幅に削減した。
EEPを率いるアシェビル・バルチャ(Ashebir Balcha)CEO(最高経営責任者)によると、電力供給の制限は段階的に強化されたものであり、当初は契約量の75パーセントへと引き下げられた後、50パーセント、そして最終的に23パーセントという厳しい水準へと変更された。
同社は10月に貯水池の水位や全体の電力需給バランスを改めて評価する方針を示している。もし状況の改善が見られない場合には、さらなる供給の削減が行われるだけでなく、国内の電力不足が一段と深刻化した際には近隣諸国への電力輸出そのものを制限する可能性も示唆されている。
国営電力会社の収益基盤とマイナーへの影響
これまでエチオピアは、豊富かつ安価な水力発電のエネルギー源を武器にして、国内外から多くのビットコインマイニング企業を惹きつけてきた。
前会計年度のデータによると、マイニング企業は同国の総電力生産量の約3分の1を消費する巨大な需要源であったと同時に、国営電力会社の収益全体の35パーセントを担う重要な顧客層でもあった。そのため、今回の規制強化は、国営電力会社の経営基盤にとっても無視できない影響を及ぼす事態となっている。
半減期と市場環境の悪化によるマイニングの限界
さらに、こうしたエチオピア国内のエネルギー事情と並行して、世界の暗号資産マイニング業界全体を取り巻く経済環境も急速に悪化している。
経済学者であり著述家としても知られるサイフェディーン・アムース(Saifedean Ammous)氏は、世界のビットコインマイニングにおける電力消費量や設備投資額が2024年から2025年にかけてすでに頭打ちとなり、ピークに達した可能性があるとの見解を示している。ビットコインの仕組みである約4年ごとの半減期によってブロック報酬が減少し続けていることに加え、直近の市場動向ではビットコイン価格の下落圧力がマイニング事業の収益性をさらに圧迫している。
AIインフラへの転換と今後の展望
こうしたビットコインマイニングの経済的魅力が薄れる中で、マイニング事業者が保有していた電力契約や冷却システム、大規模なデータセンターインフラといった資産を、AI(人工知能)やHPC(高性能コンピューティング)向けの領域へと転換する動きが急速に加速している。
多くのパブリックマイニング企業がAIインフラの開発資金を確保するために保有資産を売却するなどの動きを見せており、AIデータセンターとの間で電力を巡る新たな競合関係も生まれている。エチオピアの事例は、地球規模の気候変動による自然エネルギーへの打撃と、暗号資産からAIインフラへとシフトする世界的なトレンドの双方が交錯する中で引き起こされた、象徴的なエネルギー問題と言える。
免責事項:本記事の内容はあくまでも筆者の意見を反映したものであり、いかなる立場においても当プラットフォームを代表するものではありません。また、本記事は投資判断の参考となることを目的としたものではありません。
こちらもいかがですか?
米格付け大手S&Pグローバル、オンチェーン金融のリスク評価に参入
米国で株式トークン化を推進、SECが取引を暫定的に認める
クリプト富裕層はどこに住むか、移住を意識した世界の仮想通貨採用度ランキング

ビットコイン、下落幅は限定的も需要は停滞 クラリティー法案否決後の現在地分析=グラスノード

