浙江商業銀行FICC・貴金属ディープレポート: 地政学的リスク緩和、金と銀が再び回復—5月市場展望
出典:浙商銀行FICC
執筆者|蔡睿億、呉家玺
4月の貴金属ETFの資金状況は3月より改善したものの、大幅な資金流入には回復していない。
金ETFは国内総保有量が前月比0.31%増で拡大は維持。ただ3月の2.96%より増加幅鈍化で、国内の配分需要は続いても、追随買いや押し目買いもやや弱まり気味。海外金ETFは1.10%の保有減と3月の-4.91%からは大幅な縮小=資金流出圧力は和らいだ。
白銀ETFは海外で4月1.37%減だが、3月(-4.49%)からは明らかに改善。価格が高いボラレンジを保つなかETFの流出が緩み、過去のパニック減少が落ち着いたを示す、ただ本格的な資金回帰には至っていない。
4月貴金属のボラティリティは3月より明確に低下、先行きに対するパニック心理が穏やかになった。金の10日ローリング年率ボラは3月高値より徐々に下落し月末20%前後へ、白銀も高ボラから収束するもその絶対水準は35%〜45%と金より高い。
インプライドボラでは、金ボラ指数(GVZ)は4月全体で下落、月末には25〜30前後まで低下。銀ボラ指数(VXSLV)も下落トレンドで月末50台、1-3月の高値より大きく収束した。
金は4月の国内外価格差が0〜5元/グラムで推移。月中で一時的に低下もその後回復し、月末は3元/グラム前後。銀と比べれば変動は穏やかで国内外価格連動性が良好、市場間の裁定はまずまず効いている。
白銀は月初で1,900〜2,100元/キロ台、その後中旬に急拡大し、一時2,300〜2,400元/キロに。下旬は縮小も月末で再び2,200元/キロ超へ。全体として中旬拡大、下旬縮小、月末再上昇=海外の高ボラで国内が強い受け手となるが、継続性には不安が残る。
金の国内外価格差推移
白銀の国内外価格差推移
4月の世界市場はリスク選好が顕著に修復。NASDAQは月間15.29%高、S&P500は10.42%上昇、株式資産は大幅な反発。同期間米10年国債利回りは2.33%上昇、経済の強さとリスク資産への評価が戻った。
一方VIXボラティリティ指数は3月の高値から17-19台へと急落、市場のパニックは大きく沈静化しリスクプレミアムも大幅に縮小した。
主要資産のリターン
全体として、4月のコモディティ比価からは、エネルギー衝撃の緩和、リスク志向の回復、貴金属内部では金の防御から銀の弾力修復へシフトの兆しがうかがえる。
4月の米国イールドカーブ・スプレッドは3月以降の修復を維持してゼロ軸上に留まり、短期金利低下の期待は弱く利下げ取引は主線に戻っていない。これに対応し、国際金価格も修復はあれど一方向上昇の流れには戻れていない。
この変化は4月の貴金属にとって、FRB政策期待がコアの制約であることを示す。原油安・地政緩和で再インフレ圧力は弱まるが、米国経済と雇用が依然として強いため、速やかな利下げ織り込みは進まない。スプレッドのポジ転化で、金はこれまでの逆イールド恩恵と緩和シナリオの論理が弱まった。
5月インフレが一段と鈍化し雇用にも陰りが出れば金修復余地は広がるが、逆ならば金は利率による抑制を受ける形に。
米中製造業PMIはともに拡張領域をキープ。米製造業PMIは52.7で堅実な拡大を続け、需要・生産も弱まっていない。中国は50.3へ微減も拡張領域で、国内の工業景気も穏やかな修復を維持。
貴金属の評価面では、米製造業の強さにより早期利下げは織り込みにくく、金には利率抑制。中国PMIが50超維持は工業属性の強い白銀へのマージナルなサポート要因に。
4月のドルインデックスは上昇後下落、3月の片方向反発は続かなかった。12ヶ月SOFRも一時上昇から下落し、「高金利長期」への期待が和らいだことを示す。
貴金属にとってドル・SOFRの同時下落は外的バリュエーション圧力の和らぎを意味する。一方、ドル安で金銀の円建て負担軽減、片や短期金利下落で無利息資産の保有コスト減少、金銀の修復に一定のサポートとなる。
全体に4月のドル・金利圧力は3月より顕著に緩和。5月も米インフレ・雇用が鈍化ならドル・SOFRの続落もあり、金修復シナリオはさらに強まるが、逆にデータがタフならドル反発で貴金属上昇余地は制限される。
2026年4月、世界の金備蓄は36,615.81トンにさらに増加、3月比0.22%増とオフィシャル部門による金需要継続。5月もさらに36,660.84トンへ拡大、高値変動でも中央銀行の金買いトレンドは崩れていない。
準備比でも4月は世界で30.08%、中国は9.98%と3月から明確に上昇。5月には世界27.50%、中国9.14%とやや低下したが、前年同期よりかなり高い水準を維持。
金は4月、全体的に「レンジボトム-リバウンド-押し目確認」という展開。月内に3月の片方向下落は継続せず、$4,500~$4,800/ozレンジで推移。4月末~5月初旬にかけて一時1ヶ月超の安値まで下落も、ドル安・原油安・米イラン緩和期待で反発。Reuters5月7日は金現物$4,733.59/oz、地政学リスク緩和によるインフレ圧力低下と利下げ期待修復に市場が反応との報道。
テクニカル的には、まだ3月急落からの修復段階。短期反発で弱気色は和らいだが、依然レジスタンス圏は厚く、明確な上抜けで初めて本格修復認定。今は極端な下落フェーズは抜けたが、重要支持を再度固める必要あり。
白銀は4月に金を大きく上回るリバウンド、弾力修復色が鮮明。5月初、金反発とリスク選好回復の二つで銀価格急騰。Reuters5月7日は白銀$80.82/oz、短期反発力は金を明確に凌駕。
テクニカル的には、3月急落からリバウンド過程を終えて、より積極的な反発修復フェーズへ。ただし過去の下落が深く、ボラも高いため今の反発も「高ボラ修復」の域、まだトレンド反転認定には至らず。
3月のエネルギーショック・再インフレ期待・利下げ後退がもたらした急落を経て、貴金属セクターは4月でポラ沈静→修復段階へ。5月初には米イラン交渉が緩和へ向けて動き出したことで、「エネルギーショック-インフレ圧力-高金利圧力」から「地政緩和-原油安-利下げ期待修復」へ市場は移行。足元の金銀の大幅上昇は単なるリスク回避だけでなく、インフレ圧力緩和後のFRB路線の転換を先読みしている側面が強い。
マクロ面では足元の貴金属上昇を説明するのは「戦争リスク回避買い」ではなく、米イラン緩和による逆流である=和平で原油安、エネルギー主導型インフレが弱まり、インフレ圧力低下で利下げ期待が再燃。金はドル・実質金利の圧力和らぎに恩恵、銀もリスク志向回復と工業属性復調のダブル追い風。短期で弾力性は金より銀が顕著。
一方、グローバルな中央銀行の金買いは持続、中国人民銀行は4月も買い増しで18ヶ月連続。長期的な金のリザーブ論理は短期の変動で崩れず。短期は米イランや原油FRBが主導/中長期の下支えは中央銀行買い、リザーブ安全、脱ドル化ロジック。
- 金:金は短期で$4,700/ozを再び上抜け、4月よりテクニカルが顕著に改善。$4,650~$4,700/ozサポートを維持できれば$4,800~$4,900/ozへの修復継続。$5,000/ozの大台を超えれば弱修復→トレンド修復へ。ただし交渉難航や米指標強含みで$4,600/ozサポートテストもあり得る。
- 白銀:銀は短期弾力が金より明確、弱修復からアクティブな補完上昇へ。$78~$80/oz維持できれば$82~$85/oz圏へ継続挑戦、しっかり乗せれば$90/oz修復余地も。ただし銀の上昇にはリスク選好修復やショートカバー要素も強く、市場心理の逆回転なら金よりも急落しやすい。
- 金:「中長期コア+明確なブレイク確認後の追撃」方針。現時点は$4,650~$4,700/ozサポートの機能性を見極め、下抜けしなければリバウンド継続。有効ブレイクの$4,850~$4,900/ozで追撃も選択肢。$5,000/oz挑戦で失敗なら短期の利食い売りに注意。
- 白銀:「順張り参加+リトレースメントの徹底コントロール」。銀は金よりボラが高い。$80/oz乗せ継続で$82~$85/ozへの上値トライを注視、有効突破できなければ段階的利食いを意識。$75/oz割れなら、急速な修復パワーの後退を意味。
米イランの緩和はまだ暫定的合意の検討段階で、核問題やホルムズ海峡、地域安全保障の核心は未解決。交渉破綻・再対立なら原油リスクプレミアムは急拡大し、貴金属は再インフレ&高金利圧力に逆戻り。
米インフレや雇用が引き続き堅調であれば、FRBの利下げ観測は再び後退、ドル・短期金利急反発→金銀の上値は制限。
最近の金銀急騰は(特に銀の大幅な日中上昇)イベントドリブンやショートカバー後の反動が大きく、地政学材料出尽くしで「噂で買って事実で売り」のリトレースも警戒。
銀は短期的に金より強いが、ボラも資金フロー感応度も高い。$82~$85/ozのブレイクに失敗すれば$75~$80/ozレンジへの逆流も視野に。
責任編集:朱赫楠
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